神奈川県内の、とあるサービス業様からこのようなご相談をいただきました。

当社では3拠点に分かれて営業を行っています。従業員のほとんどが女性のパート社員で、勤務時間もバラバラです。
まず、ICT(情報コミュニケーションツール)を使ってこの従業員同士のコミュニケーションを図り、企業理念・ビジョンの浸透や意思統一を行っていきたいと思っています。同時に、お互いが切磋琢磨してモチベーションアップを図れれば良いなと思っています。

また別の課題として、当社のネットでの情報発信が弱いことが挙げられます。とりあえず作ったホームページがありますが、有効に使えているかと言えばそうでもありません。実際の集客はほとんどがタウン誌への広告出稿となっています。
今後のプランとしては、「会員向けコミュニティサイト」のようなものを作りたいと思っています。そこでは既存顧客向けに「内向けの」情報発信をすることで退会防止を図り、同時に新規顧客(潜在顧客)向けに「外向けの」情報発信をすることで新規入会を増やしたいと思っています。

永友さん、最近「SNS」というものを活用する動きがあると聞いています。当社の課題は、SNSを活用することで適うでしょうか?

そのようなご相談でした。皆さんなら、どうお答えしますか?

一気にお話をされましたが、大きくいって課題は3つありそうです。

  1. 勤務地も勤務時間もバラバラな従業員に対してICT(情報コミュニケーションツール)を使ってコミュニケーションを図りたい
  2. 既存顧客向けに情報発信をして、退会防止に努めたい
  3. 新規顧客向けに情報発信をして、入会促進に努めたい

ここで経営者様の頭の中では「SNS活用」が思い浮かんだところですが、果たしてSNSは本件課題解決に有効でしょうか。

結論的には、ICTツールとしてのSNSが有効なのは、「1」「3」の課題解決です。
「2」の課題解決にはSNSは、場合によっては、向いていないと思います。

それぞれの課題ごとに、対応を考えてみます。

(1)勤務地も勤務時間もバラバラな従業員に対してICT(情報コミュニケーションツール)を使ってコミュニケーションを図る

これにはもちろん様々な課題解決方法があります。

  • LINEのようなメッセンジャーツールで情報発信、ディスカッションをしていく
  • 閲覧制限をかけたホームページ(限定公開ホームページ)で情報発信、ディスカッションをしていく
  • グループウェア(=狭義の社内SNS)で情報発信、ディスカッションをしていく

それぞれに一長一短があります。この企業様では「グループウェア(=狭義の社内SNS)で情報発信、ディスカッションをしていく」ことを選択されました。PDFや画像ファイル等の共有頻度が高そうであること、また様々なITリテラシー(いわゆる情報処理能力)の従業員様でも使いこなせそうであることが理由です。

(3)新規顧客向けに情報発信をして、入会促進に努めたい

順番が前後しますが、これは例えば代表的なSNSであるFacebook(Facebookページ)を運営するなどで、これまで接点のなかった消費者向けに情報発信をすることが可能です。

(2)既存顧客向けに情報発信をして、退会防止に努めたい

これにはもちろん様々な課題解決方法があります。

  • LINEのようなメッセンジャーツールで情報発信、ディスカッションをしていく
  • 閲覧制限をかけたホームページ(限定公開ホームページ)で情報発信、ディスカッションをしていく
  • 会員向け(会員専用)SNSで情報発信、ディスカッションをしていく

一見、合理的なのは「会員向け(会員専用)SNSで情報発信、ディスカッションをしていく」というものですが、
・管理者のITリテラシー(いわゆる情報処理能力)がそれほど高くなく、このSNS管理に割ける時間もほとんどない
・会員が前向きな情報発信をするかどうかは未知数(例えば当該企業への批判を書き込む可能性も高い)
という与件から、「会員向け(会員専用)SNSで情報発信、ディスカッションをしていく」ことは見送りました。現在、「閲覧制限をかけたホームページ(限定公開ホームページ)で情報発信をしていく」ことを進めています。

私は「『会員向けコミュニティサイト』が有効に(円滑に、効果的に)機能する2つの条件」は、以下の2点だと思います。
(1)管理者がSNS(会員向けコミュニティサイト)運営管理に時間(と熱意)が割けること
(2)基本的に、あるテーマに関して会員間で前向きな情報発信が見込まれること

私自身、かつていわゆる会員向け(会員専用)SNSの運営責任者をしたことがあります。そこで純粋に感じたのは、会員向けコミュニティサイトを円滑に回していくには相当の時間と手間(つまり運営コスト)が必要であること、でした。

逆に言えば、SNS運営責任者が当該SNSをウォッチする時間と熱意が無く(あるいは足りなく)、かつ、会員の中で否定的/批判的な主張をするユーザーが出現するならば、ほぼ間違いなくそのコミュニティサイトは「荒れる」ことになるでしょう。

わかりやすく言えば、会員間の交流を図る(ひいてはその組織への満足度/帰属意識を高める)ことが狙いのはずの会員向けコミュニティサイト運営が、真逆の効果(求心力低下等)を生んでしまうのです。

この企業様では、この「真逆の効果」を生む可能性が高かったため、この施策を避けたのです。

SNS(ソーシャルメディア)は道具の一つです。用途や使い手の様子によって、使うべきかどうかを慎重に考えたいですよね。

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