神奈川県某市の食品加工販売業様を訪問したのは、秋の気配が感じられ始めた9月中旬のことでした。

その食品加工販売業様はご主人である経営者様が急逝し、奥様が代表者となって陣頭指揮を執っていました。

今迄は卸が中心でした。学校給食や飲食店、小売店に卸すことがメインでしたが、これからは小売(直売)もやっていかなければと思っています。
といっても工場しかなく、店舗がないものですから、ネットで何とか売っていきたいのです。お力を貸してください。

そのようなリクエストでした。

長くご商売をしてきただけに、品質は非常に良いようでした。「モノは良いが、PRのしかたが分からない」というのは、中小企業のWeb活用の現場でよく聞かれる話です。

いまは代表者となった奥様とじっくり話をしていると、「よくある発想のしかた」をしていると感じました。それは「自社の全部をネットでPRしようとしてしまう」ことです。

もちろんご商売ですし、最終的には自社のすべてをPRしていくものだと思います。しかし、総花的に自社の営業案内をネットで出したからといって勝負になるものではないのです。

この奥様は、

  • 自社は老舗であり、長らく愛されてきた
  • 商品のレパートリーは広く、それはカクカクシカジカのものである。品質には自信がある
  • 今後も精進するので、ぜひご愛顧いただきたい

と、要するにこのような口上を述べるようにホームページを作ろうとしていました。

このような発想で作られたホームページで、うまくいった、という話をこれまで17年で一度も聞いたことがありません。

私は『PRの「軸」を決める』とか『絞る』とか表現しますが、要するにPRしたいことを「何かに絞る」ということにしないと、ネットでは上手くいかないのです。

永友事務所のホームページコンサルティングでは、単にテクニック的なことを一方的に伝えるのではなく、

  • 発想を変えていただく
  • 頭をひねっていただく

という時間が比較的多くなっています。「ありかた」が分かれば、今後はホームページコンサルティングなど不要になるからです。

色々議論した結果、ある特定の商品が「ネットで売れそう」という結論に至りました。その「議論」は、他社動向だったり、ネット上の競合調査だったり、自社の優位性だったり、消費者ニーズなどの外部環境調査だったり、そういうことを総合的に判断していきます。

何より、ここではネットのコンサルティングなわけですから、「消費者ニーズ」と「ネット上の競合調査」が非常に重要になってきます。本件では、「ある特定の商品」が健康志向のニーズに合致し、かつ、その商品はネット上でほとんど訴求されていないことが分かりましたので、「勝負すべき」商品としてピックアップしたわけです。

まさかこの商品を中心にネットで売っていくとは思いませんでした。この商品は、自社内では『とてもポピュラーな商品の一つ』だったものですから…

というのが奥様のコメントでした。

一般的な自社PRと、ネットでのPRは、まったく意味が違うということを端的に示す事例だと思っています。

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